3枚の商店街専用の籤引き券。
――――全ては此処から始まった。
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殺人鍋の作り方 **
1.
「―――…何故俺は此処に居る…」
目の前の大鍋の中でぐつぐつ煮立っている“モノ”―――もつ鍋を見ながら、露骨に嫌そうな表情で呟いたのはカイ。
「しょうがないだろ?夏場なんだし、腐っちゃったら勿体ないし」
人数分用意された皿に、器用に具を取り分けながら返事を返したのはレイ。
「ならお前が全部食べたら如何だ?」
「出来ない事は無いが……コレはタカオが引き当ててきた物だからな」
『木ノ宮が引き当てた物でなければ全部一人で食べる気か…』
カイは内心そう独白したが、それでもまだ思うところはある。
「そもそも、鍋は冬に食べるものだろうが。何故この真夏にそんな物食べねばならん!」
「好き嫌い言うなよカイ。…それに言うじゃないか。『心頭滅却すれば飛んで火に入る夏の虫』って。」
「『心頭滅却すれば火もまた涼し』だ…」
益々うんざりした顔で呟くカイの向かい側には、
「美味しいネ〜vv」
「熱いですけどね…」
レイから皿を手渡され、早速平らげに掛かっているマックスとキョウジュ。
「カイ!折角当たったんだから文句言わずに食べろよな!」
そう返したのはレイに続く食欲魔人・タカオ。
「何で貴様が引いてきた物を『食べろ』と強制されねばならん!!」
語尾になるにつれて、カイの怒りのゲージが益々上がり始めたのを早々に悟ったレイは、これ以上カイが不機嫌になる前に先手を打つ事にした。
「ほらカイ、美味しいぞ?v」
スマイル爆発。
「………いただきます。」
(((レイ馬鹿だ…)))
横で只管もつ鍋を食べながら聞き耳を立てていた3人は心底そう思ったという。
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<UP:03.7.23>